前例にとらわれず、よりよいものをつくり続けて

さまざまな事業を立ち上げ、現在は保育園事業部長を務める石川。

彼女の行動力の源にあるエピソードと思いに触れていきます。

  • 名前      石川 あゆこ
  • 所属      アスイク保育園中田町 施設長
  • 略歴       大崎市古川出身。東北福祉大学 総合福祉学部卒業。 
             卒業後、仙台市子供相談センター➢子供未来局児童クラブ事業推進室にて勤務。
             その後、先輩に声をかけてもらいアスイクに入職。
  • 趣味      ライブ鑑賞、キャンプ
  • 好きな言葉  think globally act locally         

アスイクにかかわるきっかけ

もともとは子供相談支援センターにある「ふれあい広場」(青少年のための日中の居場所)の相談員として働いていました。

その後仙台市の児童館を管轄する部署での勤務を経て、先輩が働いていたことをきっかけに声をかけてもらった先がアスイクでした。

保護者支援をもう少しやりたいという気持ちがあったんです。

家庭を支援することが大事だと気付いていたものの、保護者との面談は年に1,2回程度。

なかなか踏み込むことができませんでした。 行政の枠組みでは限界があると感じ、転職を考えていました。

高校サポート立ち上げ当時の様子。

アスイクに入職したのは2017年。ちょうど高校生サポートがスタートしたタイミングでした。

その頃は相談支援員とコーディネーターを兼務するような働き方で、保護者支援も教室運営もなんでもやりました。

前例がなかったからこそ、ここで何をやりたいか、直接子どもたちに聞いていました。

子どもたちが主体となって運営する形として、10名程度の高校生が来室していましたね。

アスイクでの仕事

現在は、アスイクの保育園事業に関わり4年目になります。

保育園は宮城野通駅前、薬師堂前、中田町と3つの園を運営していますが、それぞれの園の立ち上げをやってきました。

2022年度より開園した中田町園
開放感にあふれる園舎

施設長として、現場の統括はもちろん、スタッフの育成やマネジメント、労務・経理・人事などを行っています。

保育にも調理にもスタッフがいるので、通常保育に入る機会は少ないですね。

普段は朝に子どもたちの出席状況を確認し、

その後事務スタッフとの打ち合わせや物品の管理発注もしています。実は、事務作業が多いんです。

中田町保育園の職員室

給食の検食をおこなった後に日報の確認、昼休みに入ったスタッフに声をかけて様子を聞いたりしています。

「園長先生と呼ばないで」と伝えているんです。 同じ目線でコミュニケーションをとるように意識しています。

印象に残っているエピソード

「ふれあい広場」での勤務当初に出会った子どもが印象に残っています。

小学校1年生から中学1年生まで不登校。生活保護家庭でした。

彼女は幼稚園にも保育園にも行っておらず、人とのかかわりに不器用さをもっていたんです。

彼女とつながり、次第にフリースペースにも通うようになりました。

勇気を出して来てくれていたんだと思います。

2017年 高校生サポートの様子

居場所に通うことで友達ができ、さまざまな経験から興味も芽生えてきているようでした。

高校には入りませんでしたが、「アルバイトがしたい」と自分から話をしてくれたんです。

履歴書の書き方を学んだり、面接の練習をしたり。 その間に恋愛もして。

彼女は初めて稼いだアルバイト代で自分の欲しかったものを買ったんです。

その年代らしい表情になったと感じましたね。

2017年 高校生サポートの様子

変化は彼女のお母さんにも現れたんです。

もともと働けなかったお母さんも彼女に刺激を受けて外で働くようになり、生活保護も外れたんです。

彼女の力が大きいのですが、本当にハイスピードで吸収していったという印象でした。

そのときに経験してほしいことを経験することで、こんなに成長していくのかと。

学校に行くことがすべてだとは思っていません。 その時に後悔しない選択をしてほしいと思います。

この経験は保育園にもつながっています。

発達には個人差や凸凹もありますが、スタッフと一緒にゆるやかに見守っています。

一概に「あなたは小さいからダメ」とはしたくありません。

子どもたちのやってみたいなという気持ちを蔑ろにせず、できない部分は少し手伝ってあげる。

嬉しい気持ちや達成感を味わってほしいです。

アスイクで活動するなかで大切にしていること

「楽しむ」ということを意識しています。

楽しむ気持ちを持っていないと子どもたちも見抜くんです。 自分が楽しんでいないと、子どもたちも楽しくないですよね。

仕事として考えるとしんどいときもありますが、ピリピリしてしまうと周りにも影響を与えてしまいます。

自分の心も大事にして、落ち着く瞬間をつくるように意識していますね。

スタッフにも「無理しないで」と伝えています。

”頑張る”と“無理する”は、似て非なるものだと思うんです。

頑張るときは見守り、無理しすぎているなと感じる時は声をかけています。

一生懸命働いてくれるスタッフが多いので、気にかけて見ていますね。

保育士という仕事は、社会から求められるニーズが高いと感じています。

それでいて、外からは見えにくいんですよね。

防犯や防災、虐待や要支援児保育など、自分たちで考えて取り組まないといけないことがたくさんあります。

現場の自助努力だけでは難しい部分もあり、キャパシティを超えてしまわないか心配もあります。

保育士は素敵な仕事です。

志の高い人たちが諦めないように、担い手を支えていきたいです。

個人のビジョンと思い

もともと型にはめられるのが好きじゃないんです。壊せるものがあれば壊したいタイプ。(笑)

保護者や子ども、スタッフにとってもよいものは壊してでも「新しいものを作っていく」という気持ちでいます。

とりあえずやってみる、ということを大事にしています。

アスイク全体としても、規模がどんどん大きくなり多くの人にアスイクを知ってもらえるようになりました。

団体として持っている行動力やフットワークの軽さは、保育園にも共通していると思います。

保育園ではアスイク全体として大事にしている軸に+αをして、

保育士の先生方のカラーをのせていく、そんな園にしたいと思っています。

子どもたちや保護者との関わりを丁寧に紡いで、あったかい保育園、地域に根ざす保育園を目指していきます。

まだまだ始まったばかりですが、10年後、どんな園になっているか楽しみですね。

この記事を書いた人

稲村 友紀