「一歩進んでも、横にずれても、大丈夫。」 見守り続ける存在に

学校派遣、フリースペース運営、学習支援、、

さまざまな事業を兼任する松浦の働き方、
そして多様な子どもたちとのエピソードに触れていきます。

  • 名前      松浦  朱里 
  • 所属       たがじょう子どものこころのケアハウス/仙台まなびサポート 
  • 略歴       仙台市出身。 東北福祉大学卒業。                    
             事務職を中心に、飲食店やオペレーターなど  の職を転々とした後、アスイクに入職。
  • 趣味      ライブ鑑賞、読書
  • 好きな言葉  「気分は天気と同じ」         

アスイクにかかわるきっかけ

アスイクを知るきっかけは、就職先を探していた時に紹介を受けたことでした。

実はいままで子どもにかかわる仕事に就いたことがなく、ずっと事務職をしていたんです。

中学生のころ、保健室で家族のことなど先生に話を聞いてもらったことをきっかけに

人の感情に関心を持つようになり、大学では福祉心理学科に入学しました。

しかし、勉強すればするほど、「私には向いていないかも」と思うようになり、

心理の仕事をするイメージがもてず、そのまま就職先は事務職を選びました。

次の仕事先を考えていた際に子どもや福祉に関する仕事を紹介いただき、候補の一つがアスイクでした。

まずは話を聞いてみようと採用説明会に参加したのですが、

説明を聞いているうちにさまざまな事業に取り組んでいることに魅力を感じました。

いままでも福祉や心理に興味があってやってみたいとは思うこともありましたが、

経験がない、できる気がしない、イメージが持てない、と感じていて。

それでも、採用説明会をきっかけに、興味があることにちゃんと関わってみたいという思いが強くなり、応募しました。

アスイクでの仕事

現在は複数の事業に携わりながら仕事をしています。

メインは多賀城市での活動で、週に3日「学校派遣」として別室登校の子どもたちのサポートをしています。

午前中から給食後まで、子どもたちの学習に個別に寄り添ったりお話をしたりしながら過ごします。

そのうち2日は、学校派遣の業務後に仙台市の学習支援事業「まなびサポート」で教室運営も行っています。

学校派遣以外の週2日は、「たがじょう子どもの心のケアハウス」で勤務をしています。

子どもたちや他スタッフと一緒に遊びを通してコミュニケーションをとっていることが多いですね。

子どもたち同士で盛り上がったりして、にぎやかな雰囲気です。

私は複数の事業に関わっていますが、それぞれに特徴があると感じています。

例えば、「たがじょう子どもの心のケアハウス」では子どもたちがどのように過ごすか自分で考え行動していますが、

学校派遣では時間割や課題が決まっているため、子どもたちともそのなかで調整をしながら過ごしています。

また、学校の先生と話をするのと、アスイクのスタッフと話をするのとでは、視点の違いも感じたりしますね。

学習支援事業「まなびサポート」での教室運営の業務もまた、他と違っています。

学習の場であり、居場所でもあるので、勉強してもらいたいなとは思いつつ‥バランスをとる必要があると感じています。

まなびサポートではその子の家庭の様子や学校課題の提出状況など細かい部分まで観察や確認をするので、視点が増えたと感じています。

週2回のみの開催だからこそ限られた時間のなかでどうアプローチすべきかも考えますし、

複数名のアルバイトスタッフやボランティアで運営するからこそ、

それぞれの考えも踏まえつつ、子どもたち一人一人を見ながら運営しています。

どの事業においても、保護者でも学校の先生でもない存在でいられることは良さだと感じています。

「学校の先生じゃないから、話せる」と言ってくれた子どももいました。子どもにとって気持ちがやわらぐ存在でありたいです。

印象に残っているエピソード

学校派遣では、別室登校をしていた子どもたちが少しずつクラスに行けるようになるなど変化がみられています。

入職して2か月ほど過ごしていたフリースクール「ふれあい広場サテライト」での時間も印象的ですね。

想像以上に元気で、自由で、いい意味でギャップを感じました。

時間も区切られていないですし、スタッフもその場で考え対応することが求められます。

想像し得ないことが起こるので、毎日どうしよう‥と考えさせられました。

「たがじょう子どもの心のケアハウス」でも、想像を超えることが起きたりします。

大人が勝手に想像しているものとはまったく違うように子どもたちは動いたり、物事を捉えていることもあります。

いろんな可能性を考えなければいけないし、自分の考えだけでは通用しないことも実感しました。

でも、それ自体も楽しみたい!と思っています。

まなびサポートの教室に毎回来室する女の子は、来るたびにいろいろなお話をしてくれます。

最近は、事実にあわせてその時自分はどう感じたのかという感情もお話してくれるようになりました。

受験や勉強に対するモチベーションも上がっていて、教室での声がけや環境を通して

「前に進みたい」という気持ちが湧いて来ている様子が実感できています。

振り返ったときに見えてくる子どもたちの変化もうれしいですが、その場に立ち会えていること自体がうれしく、やりがいを感じています。

アスイクで活動するなかで大切にしていること

「子どもの名前を一日一回は呼ぶ」ということをマイルールにしています。

また、子どもに気を使いすぎず、私を主語に話をするようにしています。

ケアハウスだから、とか、学校だから、というよりも、「私はこう思う」と伝えることが大事だと考えています。

いつでも自分の本心と子どもへの接し方のずれがないようにしたいです。

分からなければ分からないと言いますし、取り繕って大きく見せたり、無理して合わせないようにしています。

カードゲームをしていて子どもから「大人げない」と言われると「大人げなくないし!」なんて返しています。(笑)

個人のビジョンと思い

子どもの前に立つのではなく、子どもと同じ方向を向いて頑張れる人でありたいです。

子どもと向き合うでもなく、横に並んで、隣からポンと背中を押す。

一歩進んでも、横にずれても、大丈夫って思えるように、子どもたちがうしろを振り返ったときに見守り続けられる人でありたいと思います。

この記事を書いた人

稲村 友紀