「アスイクだからできる」アウトリーチを。

訪問支援である”アウトリーチ”を通して、家庭と関わる板垣。
深刻なケースが多い現場でも、花咲く笑顔で真摯に向き合う彼女の想いとは。

  • 名前       板垣 明莉
  • 所属       相談支援ユニット アウトリーチ(訪問支援)スタッフ
  • 略歴       宮城県出身。東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 卒業。
             2021年度アスイク新卒入職。アスイク在職中に社会福祉士の資格を取得。 
             2024年度アスイクベスト・ワークアワード準グランプリ受賞。

アスイクにかかわるきっかけ

学生の頃から子どもと関わることが好きで、ジュニアリーダーや児童館、保育園のボランティアに参加していました。

施設のなかで子どもたちと触れ合うことはとても楽しかったのですが、

ふと、子どもたちが施設を離れたら関われないんだな、と感じることがありました。

家庭環境がその子の性格や価値観を形成してきたのではないか…と感じて、

居場所も大事ですが、その先に行きたい、

子どもたちの育つ環境を知った上での支援がしたいと考えるようになりました。

大学で福祉を勉強していくうちに、私のやりたいことはアウトリーチ(訪問支援)だとわかったんです。

しかし、ゼミの先生に「アウトリーチをやりたい」と話をしたら、「アウトリーチは、一番難しい仕事だよ」と言われました。

支援は要らない」と感じているご家庭に対しても訪問をし、関係性を築いていかなければいけない難しい仕事だ、と。

それでもやっぱりアウトリーチがしたくて。

理解をしてくれている先生が「板垣さんに合うんじゃないかな?」と紹介してくれたのがアスイクでした。

アスイクでの仕事

涌谷町と仙台市の訪問支援を担当しています。

食品をお届けしながら保護者の方やお子さんとお話をしたりお勉強をして、

日ごろの育児や生活のお話を聞かせていただいています。

ときには、子どもたちの宿題を一緒にやったり、印刷したドリルに

一緒に取り組んだりと学習のサポートもしています。

印象に残っているエピソード

今でもとても印象に残っているご家庭があります。アスイクに入職してすぐのことでした。

周囲とのやりとりがなく、訪問するまで家庭の様子が分からない状況でした。

初めての訪問の時、持っていった食品に子どもたちがわっと駆け寄りその場で開けて食べ始めたんです。

ここまで逼迫した状況を目の当たりにするのは初めてのことでした。

お母さんは元気がなく、部屋を片付けるのもままならない様子で寝込んでおり、

母子共に元気がなく、口数も少なかったです。

何度か訪問するうちに、だんだんと食品のリクエストをしてくれるようになり、

子どもたちは保育園や学校での話をしてくれるようになりました。

さらに、それまでは元気のなかったお母さんが、「板垣さんが来るから片づけようかな」と、

部屋の中に私が座れるスペースをつくって、訪問を待っていてくれるようになったんです。

自分が訪問することが、その人にとって、何かしようという原動力になるんだ!と感じました。

この体験は、食を通してご家庭と共に今後の生活について考えることができた

最初の体験でもあります。

実はその後、お母さんが誰にも言えずに抱えていた家庭内のことを、

何週間も長い時間をかけて、少しずつ、打ち明けてくれました。

お母さんはそれを話したら子どもと引き離されることが怖くて、誰にも言えなかったのです。

私からは、「どうすればいいか一緒に考えたい」と話しました。

その後、お母さんは自ら環境の変化を望み、関係機関に頼りながら、

子どもと一緒に新たな生活を送ることができました。

起きた現実は変わらないけど、前を向くことができる終結だったと思います。

このご家庭と関わったことで、

どうしたら、この事業がなくなっても関わる家庭が生きていけるか

ということをより考えるようになりました。

アスイクで活動するなかで大切にしていること

常に学び考える」という感覚です。

支援は、何かを「与える側」と「与えられる側」、という関係になりやすいと思います。

でも、私は食を通してご家庭にお邪魔し、さまざまな家庭環境を学び、

この家庭が前に進むためにどうすればいいかを、一緒に考えたいと思っています。

保護者が思う未来、子どもが思う未来って、時に食い違って

家族関係がギクシャクしたり、バチバチすることもあります。

私の役割は「あなたのことを思ってお母さんはこう思っていたらしいよ」とか

あなたはこういう想いを持っていたんだね」とお互いの意見を咀嚼して伝え

「じゃあどうする?」を一緒に考えることだと思っています。

「前に進む」っていうのは、こうやって一緒に考えることを通じて、

自分がいなくても家庭の中で話し合って考え、進んでいくことだと思っています。

個人のビジョンと思い

これからも、自分なりの「板垣だからできる!」アウトリーチをし続けたいです。

自治体や関係機関との関係も大事にしていて、「板垣さんだから!」と言ってもらえることが増えたんです。

少しずつ自分のアウトリーチができる場所を増やしていきたいです。

また、認定社会福祉士を目指して勉強中です!

最近は、子どものことだけではなく、子どもを取り巻く地域のことももっと勉強したいですし、

アスイクでの事業成果を外に発信して、私たちが行っている活動に参加する人が増え

大変な状況の子どもが減っていくといいなと。やりたいことはたくさんありますね!

この記事を書いた人

asuiku0000