多様な出会いから、意志ある「未来」をすべての子どもたちへ

2022年春、「もっと挑戦したい、成長したい」と広報担当へ立候補。その思いの根源はどこにあるのか。

「アスイクの仲間」記事の第一弾として、コーディネーターユニットの稲村の活動を取り上げていきます。

  • 名前      稲村 友紀
  • 役職      コーディネーターユニット サブリーダー/広報担当
  • 略歴      大学卒業後、私立高校の数学科教員として教壇に立つ。当時の生徒たちとの出会いから、「もっと幅広い視野を」「経験を自分の言葉で語れる教員になりたい」という思いを持ち、JICA海外協力隊として2年間タンザニアで活動。帰国後は、石巻市雄勝町にて循環する暮らしをテーマとした子どもの複合体験施設MORIUMIUSにてプログラムの企画運営や学校連携を担当。働き方を変えながら認定NPO法人カタリバ 女川向学館にて学習支援・キャリア教育に携わる。地元仙台に戻った後、独立行政法人国際協力機構(JICA)東北センターでの勤務を経て、アスイクに参画。
  • 趣味 新体操、チアダンス、カフェにいくこと
  • 好きな言葉 明るく前向き

アスイクにかかわるきっか

地元仙台で働ける、教育系NPOを探していました。その時に出会ったのが、アスイクです。

私は元々中学生の頃から教員を志しており、JICA海外協力隊や被災地でのキャリア教育など、

さまざまな業種・立場を経験しながら子どもに関わる仕事、教育に携わる仕事を軸にして自分のキャリアを歩んできました。

アフリカ・タンザニアにて2年間JICA海外協力隊として活動

一度教員を離れて強く感じたことは、子どもを育てるのは家庭や学校だけの役割ではないということです。

また、途上国や被災地での教育活動を通して、「思いを持った仲間」と「スピード感を持って」行動できることにも仕事の魅力を感じていました。

常に変化をしながら子どもたちと向き合う「NPO職員」という立場で、子どもの育ちに関わりたいと思いアスイクへの参加を決めました。

アスイクでの仕事

私が担当する事業は、生活保護受給家庭、ひとり親家庭などの中学生を対象とした学習・生活支援事業「仙台市まなびサポート」です。

仙台市内20箇所の教室にて、子どもたちの学習サポート・居場所づくりを行っています。

それぞれの教室には、夕方から子どもたちが学校の宿題や課題をもってやってきます。

社会人や大学生のアルバイトスタッフ、ボランティアスタッフが勉強やおしゃべりなどコミュニケーションを通して子どもたちの成長を支えています。

大学生の教室スタッフがオンラインで参加をしてくれました!

私は「コーディネーター」という立場で、教室の運営や体験プログラムの企画立案・実行、アルバイトスタッフ採用・育成、ボランティア募集、外部連携など

多種多様な業務をチームメンバーと共に遂行しています。さまざまな業務経験ができることは、アスイクで働く上での魅力だと感じています!

また、福祉関係の資格をもった相談支援スタッフとペアになって教室を担当しているため、働きながら福祉の視点も得ることができます。

そのほかにもフリースクールや子ども食堂、児童館、保育園など複数の事業に取り組んでいる団体だからこそ、互いの取り組みから学び合うことができる環境です。

コーディネーターの仲間たちと。

アスイクは子どもたちのみならず、スタッフの「やってみたい」を応援してくれる場でもあります。

私はもともと”副業”や”複業”の経験もあり、現在も申請をした上で新体操のインストラクターやオンライン教室運営など複業を楽しませていただいてます!

得意なダンスをいかしたミニイベントも実施しました

他にも、私も「自分の可能性をもっと広げたい!』『アスイクのバリューにもある「挑戦」をもっと体現したい!』という思いから、【広報担当】に立候補しました。

広報担当としては定期的な活動報告会の実施やSNSの活用など、試行錯誤しながら取り組もうとしている段階です。

まだまだチャレンジの途中ではありますが、楽しみながら前に進んでいく姿を子どもたちにも感じてもらえたら嬉しいなと思っています。

アスイクで活動するなかで大切にしていること

アスイクでは子どもたち、保護者の皆さん、アルバイトスタッフ、ボランティア、その他ご協力をいただいている自治体や企業の皆さまなど、

多様な方と関わる機会を持たせていただいています。そのなかで大事にしていることは、「相手の視点に立つ」ことです。

みなさんの思いを理解することは容易くありませんが、まずはアスイクのバリューに一つでもある「受容」する姿勢をもつことを意識しています。

有志アルバイトスタッフとともに学習サポートの見直しを行いました

子どもたちにとって、アスイクは心地よく過ごせる場所、苦しいときも楽しいときもそっと側で見守ってくれる大人がいる場所であってほしいと願っています。

実現するためには、思いをもって活動に関わってくださるアルバイトスタッフやボランティアのみなさんの存在が欠かせません。

子どもたちも、大人も、同じ目線に立って楽しみながら成長を喜びあえる、そんな教室づくりを目指しています。

個人のビジョンと思い

※ アスイクでは団体としてのビジョンだけでなく、個人としてのビジョンも大事にしている団体です。

私のビジョンは、「”わたし”の未来を届ける」としています。

”わたし”を強調しているのは、それぞれにとって意思のある未来への選択をしてほしい、という思いからです。

本部事務所入口のボードにそれぞれのビジョンが記されています

被災地である沿岸部で活動していた際に、「うちは漁師だから、自分も将来は漁師になる」と教えてくれた中学生がいました。

私は漁師という職業を心から尊敬していますし、地域に残りたいという思いも感じられて感動した一方で、

さまざまな選択肢を知った上で決断した仕事なのだろうか、と疑問に感じたことがありました。

いまの社会には私たちが知らないような職種も多くありますし、仕事はひとつだけでなくたっていい、多様な働き方も続々と生まれています。

子どもたちにとって、多様な出会いを通して、さまざまな価値観や考え方、生き方に触れることは、

これからの不確実な社会を進んでいく上で重要なのではないでしょうか。

女川町の海

アスイクには家庭と学校以外に居場所がない、大人と出会う場がない子どもたちも多く在籍しています。

学生アルバイトスタッフが研究していること、社会人ボランティアスタッフの普段の仕事など、何気ない教室での会話も多様性に触れる機会だと捉えています。

子どもたちには、あらゆる選択肢を考えた上で、「やっぱり自分はこの道に進むんだ」と決断できる力が必要だと思うのです。

私は、普段の子どもたちとのコミュニケーションでも、子ども自身の思いや考えを尊重する姿勢を持つように意識しています。

「私はこう感じたのだけど、あなたはどうかな?」

子どもたちが自分で”わたし”の未来を選択できる、そんな社会を実現したいと思っています。

この記事を書いた人

稲村 友紀