トップマネジメントの役割 ~ドラッカー「マネジメント」の備忘録~

今回のコラムは、ほぼ個人的な備忘録です。

1年ちょっと前の事務所の増設、レイアウト変更をキッカケに、自分のデスクをなくしました。

なくしたというのは正確ではありませんね。

利用者のクールダウンスペース、面談スペースとして使っていた小部屋を代表室にして、

多くの職員が働く執務スペースから自分のデスクをなくした、というのが正確なところでしょうか。

特にそのようにした狙いはなく、職員が増えて物理的に自分のデスクを確保できなくなっただけです。

この小部屋(代表室)がなんとも居心地が悪い場所で、薄暗く、圧迫感もあり、1日中こもっていると気が滅入る仕様になっております。

写真の通り、天井の電気もないので、スポットライトを取り付けており、このせいで一説によると「取調室」と呼ばれているようです。

代表室に呼ばれた職員は、何も悪いことをしていなくても罪びとのようにおどおどして入ってくるのも仕方ありません。

そんな事情もあり、齢40過ぎにして、この頃は出社拒否気味となっています。

机に座って仕事をしているフリもできなくなりました。

というのはもちろん冗談ですが、以前よりもリモートワークが増えた結果、経営者の仕事や役割って何だっけと考えることも増えました。

ドラッカー「マネジメント」再読

言わずと知れた経営の神様と呼ばれるピーター・ドラッカーの著書「マネジメント」。

ドラッカーの本は実用的なフレームワークというよりも啓蒙書のような内容なので、苦手な人も少なくない印象ですが、

僕は割と好きで、社会人になったばかりの頃から賢くなりたい一心でよく読んでいました。

(ドラッカーの本を読んだ後に書いた文章は、なぜかドラッカー調になってしまうほど癖があります。訳の癖かもしれませんが)

ようやく本題ですが、ドラッカーが定義するトップマネジメント(≒経営者)の役割は、次の通り。

  1. 事業の目的を考える役割。「我々の事業は何であるか。何であるべきか」
  2. 組織全体の規範を定める役割。ビジョンと価値基準を設定する。
  3. 組織をつくり、未来のトップマネジメントを育成する役割。組織構造の設計。
  4. 渉外の役割。顧客、政府、金融機関などとの関係。
  5. 行事や食事会への出席などの儀礼的な役割。
  6. 重大な危機に際して自ら出動する役割。危機対応。

具体的な役割は組織によって異なること、これらの役割は一人が担うのではなく、トップマネジメントチームがチームとして分担するものであることが補足されています。

振り替えると、今も昔もあるべき役割にフォーカスして仕事を取捨選択するのはかなり意識的に行動しないとできないことだと感じます。

外部からの協力依頼、メンバーからの相談・報告、惰性でやってきたルーチンワーク・・・

その一つ一つに、どう返すか、どう関わるか、いちいち考えて、ベストな対応を決めるのは何気にストレスがかかる作業です。

だからこそ、ドラッカーが提示するトップマネジメントの役割を指針・軸とすることで、だいぶ判断に自信を持つことができると思います。

この記事を書いた人

大橋雄介

NPO法人アスイク代表理事
社会福祉法人明日育福祉会理事長